空の中 (角川文庫 あ 48-1)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング (2008年6月25日発売)
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5

塩の街に続く、自衛隊シリーズの二作目。

今回は、よりSFらしさが増しているかな。

高度二万メートル。
それは飛行機に携わる者、全てが憧れる空。

国内の最新鋭機が、その高さで散った。
時をあまり置かずして、自衛隊の戦闘機もまた。

原因は、不明。

事故の調査が始まり、人々が遭遇したのは
今まで出会ったことのない知的生命体だった…。

基本的に悪いやつが出てこない。

人間が異種生命体と心を通わせていく過程も
人類滅亡の機器を回避していくのも、すごく
理性的で、こころある判断をしながら
勝ち取っていくから、読んでいて心地が良い。

遭遇した生物も、私は愛着が湧きっぱなしだった。

ネタバラシを極力控えたいので、正直細かいことが
書けない。歯がゆい。でもそのくらい面白かった。

読者がおおっと声を呑みながら
次はどうなる!とページを捲るのが一番。

恋物語も散りばめられていて、ああ、この場面
アニメでみたい!と思ったところもしばしば。

でも一番の読みどころは、諄々と語られる
あるひとの言葉かもしれない。

人間は間違う。確かに。
取り返しの付かないことをする事もある。

でも、その結果失敗して、何かを失っても
そこからの人生まで失うわけじゃない。

そこから、やり直して新しく始められる。
痛くても、無様でも。

間違ったからこそ…そこから。
遅すぎることはない。

大事な人には特に。

それを改めて、いいなって思わせてくれたお話。

それで帳消しにならない事は?
いや、それは人生起こり得る。

このお話の主人公たちが、
かけがえない人を失くしているように。

でも…そうだけど。私たちは耐える力を持っている。ありがたいことに。その原動力が自分を源にするか。他の人を源にするかは措いて。

その先にも、誰かがいて、自分がいる。
それは時にしんどいけれど、いいものも
連れてくる。

何のことか分からないって?

うん。それでいいのだ。
あなたがこの本のページを閉じる時には

ああ、ああいう意味か…(くすっ…)

って、きっと思ってくださるから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2017年11月27日
読了日 : 2017年11月27日
本棚登録日 : 2017年10月21日

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