やっと読了。
とにかく長くて、解説によると連載ではなく一気に書き上げたようなので、それだけですごい体力だと思うので☆5です。(笑)
もういっその事、白鯨にいつまでも出会わないで永遠に探し求めていてくれてもいいと思った。血なまぐさい捕鯨または人の命が海で失われるシーンに耐えられない危惧もあって。
予想に反してあっけなくエイハブも拝火教徒もスターバックも忽然といなくなってしまった。そんな風に海上での最後は無情のなのかもしれない。
立体的に船の様子や漁のシーンなど私の脳の働きが悪くよくわからないで読んでいた部分もあるが、鯨学も含め、この作家はとてもユーモアのセンスにあふれ、そして戦闘的で怖いもの知らずな文章を書いていたのだなと感心し、同性愛的な描写など、果敢に表現していて、それなのにイシュメール以外は誰一人助からないのにお涙頂戴のシーンもなく、案外、すごすぎる惨事の前にはそんな風にしかならないのかもなぁ。
これはやはり芸術だと思う。
棺桶の下りなどそこかしこに日本的?に言うなら縁起の悪い象徴が出現し、解説を読んでいて思い出したけれど、「たいていの手紙は目的の人物にとどくことはない」というのがその後に書かれた「バートルビー」を思わせ、さらに加え、この船の乗組員の多様性に当時のアメリカ白人でプロテスタントにはない、どこか日本人がクリスマスも祝い、神前で結婚し、最後は仏式で送られるような感覚を持っていると感じさせられた。だからこそ当時のアメリカではあまり売れなかったのだろう。
ちょっとレビューとは言えないけれど、こんな長い小説を読んだなんて自分をほめたい。
- 感想投稿日 : 2020年10月19日
- 読了日 : 2020年10月18日
- 本棚登録日 : 2020年10月18日
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