嫌がらせか?というほど「脱線」が多い(物語の本筋と関係のうすい章が多い)。
ユゴーは「レ・ミゼラブル」でも、パリの地下下水道の解説を詳論していた。本作では、建築文明論のような章で自論を詳説。「パリ鳥瞰」という章もあり、これまた過剰な描写を積み重ねる。
19世紀の作家には、小説に、かようにして自論や自説を書き込む傾向があるように思う。ジャーナルな視座、近代的な思考が成熟しはじめていて、そういう論を書かずにいられない様子に思える。(詳説脱線ではないが、ゾラも、ジャーナルな目線というか、ルポルタージュの意識が感じられる)
小説「ノートル=ダム・ド・パリ」の内容に関する感想は、下巻のレビューにゆずる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学(古典)
- 感想投稿日 : 2022年6月15日
- 読了日 : 2022年6月6日
- 本棚登録日 : 2022年5月7日
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