パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 41)

  • 早川書房 (2003年10月1日発売)
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隣をわずかな時間並走した車内である女性が男が女の首をしめるのを窓越しに目撃する、この出だしからして興味をそそられる。しかも目撃した老夫人はマープルを訪ねる途中だった。この最初の衝撃的な出だしと、そして最後の真犯人を究明する最後の場面がとても印象的な作品。

車掌や警察に報告するも、死体がみつからないとしてそれで終わりに。しかしマープルはカーブする線路が広大なお屋敷に接していたことから、そのお屋敷に死体があるのではとにらみ聡明な家政婦を送り込む。そのお屋敷は亡祖父が食品づくりで財を成し、息子が遺産を相続し、さらにその5人の息子達と2人の娘達がいて財産を当てにしている。長男は第二次世界大戦で戦死したが、実は直前に結婚したという女から手紙が届き・・

果たして納屋から女の死体が見つかる。その手紙の女か、と思いきやまさかの女の正体と新たな女の出現、片や三男、四男が砒素で相次いで死亡し、犯人は意外な? 

料理もうまく頭もよい聡明な家政婦と、泊まりにきた孫の男の子が物語のスパイスになっている。また57年発表時、お屋敷のまわりは宅地開発がされている、戦時中飛行士だった次女の夫は戦後、なかなか飛行士以外の道を探れないでいる、など時代背景も興味深い。

ドラマで見ているはずなのに最初の場面以外まったく覚えていなかった。


1957発表
2003.10.15発行 2015.11.15第7刷 図書館

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・ミステリー 海外(英米)
感想投稿日 : 2019年11月10日
読了日 : 2019年11月10日
本棚登録日 : 2019年10月20日

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