新訳 十二夜 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2011年10月25日発売)
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本棚登録 : 150
感想 : 15

またまたシェイクスピア。やはり戯曲は読みやすくていい。
初めてシェイクスピアの喜劇を読んだけども、すべて丸く収まるご都合主義で結構大歓迎。
メッセージ性よりも、観客を楽しませる事に特化していた。
深い意味では道化がその役を担っていた。愛という感情を押し殺す辛さについてはメッセージ性があった。
最初の、「音楽が恋の糧なら、続けてくれ、嫌というほど味わえば、流石の恋も飽きが来て、食欲も衰え、なくなるかもしれぬ」この部分のほかにもいい台詞ばかりだった。また、シェイクスピアの作品中で一番の音楽的作品らしい。たしかに、科白が歌を歌うような流れと、音の使い方がうまい。日本語訳だけども。
訳者はがんばった。えらい。
韻律すなわちリズムというものは昔から大切に扱われており、現代ではラップのような形ではあるが、この高度な遊びは今も人を本能的に掴んで離さない。
タイトルの十二夜は、クリスマスシーズンの最後の夜を指す。どうやら、クリスマス後の12番目の夜、1月5日の夜らしい。
【あらすじ】
ヴァイオラ「シザーリオ」
セバスチャンの双子の妹で、男装してシザーリオと名乗り、オーシーノ公爵に使える。兄のセバスチャンは妹が死んだものと思っており、後にオリヴィアと電撃結婚する。オーシーノ公爵はイリリアの領主であり、オリヴィアにお熱をあげてるが、後にヴァイオラと結婚する。悪い奴じゃないんだけどね。オリヴィアは伯爵家の独身女主人であり、シザーリオに一目惚れしてしまい、おかしな三角関係が生まれる。このオリヴィアの叔父、サ・トビーとその友人、サー・アンドルー、侍女のマライアとが手を組んで執事のマルヴォーリオとヴァイオラ達とにちょっかいを出し初めて話がややこしくも、それぞれがすんなりと結婚する不思議な喜劇。マルヴォーリオはかわいそうだけども、彼自信にも問題があり、道化もそれに便乗して苛めている。道化は賢者の側面を指摘されているが、それすらも道化的な不確定感ともいえる不気味さは流石。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月3日
読了日 : 2017年6月18日
本棚登録日 : 2024年1月3日

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