再読。カミオカンデのニュースを受けて。
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この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
たとえば、星を見るとかして。
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すべては冒頭の文にあらわれている。
星や宇宙のことを考えるとき、日常に救いがあった当時の私は、一瞬にして引き込まれた。
そして、男二人の出会い頭の会話。
一般的にみれば荒唐無稽な内容を、全くおかしなことと捉えていない。
チャンネルが合うというのだろうか。こういう一生に一度か二度あるかないかの景色を切り取った小説は改めてとても好きだと思った。リチャード・バックのイリュージョンが好きなのも似た理由かもしれない。
一人でバーに行くと
ふとチェレンコフ光を思い出すことがある。
億単位の水や巨大なカミオカンデの美しさへ一瞬にしてつながり、日々の世俗的な疲れが洗い流されていく。若い頃出会えた幸運に心から感謝。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月23日
- 読了日 : 2020年7月18日
- 本棚登録日 : 2020年7月18日
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