面白かった!一気読み!!
ブッカー賞に外れなし!かもしれない。
最近読んだディストピア文学の中では、ピカイチの面白さだった。翻訳家さんに感謝!!
脱北者のことや、福音派のことやらがアレコレと想起されて興味深いのはもちろん、展開のスリリングさは前作以上。
生き別れの異父姉妹がお互いの言動に違和感を感じ合う場面。どちらかというとギレアデ側で育った姉の性格の方に親和性を感じてしまうのは、日本(あるいは東アジア?)では女性に対して抑圧的な場面がまだまだ多いことの証左のような気がしてならなかった。果たして、私たちは私たちの国の中に根深く残る「ギレアデ」を自分たちで取り除けるのだろうか?リディア小母やベッカの死を無駄にすることなく。
清教徒と革命、とくれば、クロムウェルと恐怖政治がセットでイメージされてしまうけど、詳しくは無いのであくまでもイメージ。ただ、作者は「人類史上前例のないできごとは作中に登場させない」というルールを前作以来踏襲されたとのことなので(あとがきより)、きっとそのへんの歴史的事実をよく知っている人には「あー」ってなるんだろう。そう考えると、エピローグが昨今のメイドコスプレに対する痛烈な皮肉になってる。何も考えんとメイド服着たり着せたりして喜んどる人には耳に痛い話。本作を読んで、メイド服が性的、っていう文脈のおぞましさに少々耳を傾けてから秋葉原に足を運ばれたし。また味わい深かろうて。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年11月18日
- 読了日 : 2020年11月18日
- 本棚登録日 : 2020年11月6日
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