レ・ミゼラブル〈下〉 (福音館古典童話シリーズ (32))

  • 福音館書店 (1996年1月31日発売)
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感想 : 18
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1832年6月5日、ラマルク将軍の葬儀。ミュージカルで流れる、♪Do you hear the people sing?♪の合唱が聞こえてきます。この場面は、映像や音楽にはかなわないかな。BGMスタートです。

一人の女が叫んだ。「始めるのは、早すぎる」。きっと、熟していなかった。あと16年(一世代)、二月革命まで待つ必要があった。歴史を振り返れば。
七月革命で発足した七月王政は、フランスの産業革命期ともあいまって、ブルジョワジーの社会改革に過ぎない。したがって、革命の中心となる労働者・プロレタリアートの反発が蓄積されるまで、まだ時間がかかった。

暴動の最中、ジャヴェールが、”神に辞表を出す”。彼なりに、悪を憎み、悪を許さず、犯罪者は犯罪を繰り返すという信念で生きてきた。その信念に自分の行動が許せなかった。変わることを否定することは即ち生きることが許されないことなのかもしれない。

ジャン・ヴァルジャンの最期の言葉が、長い物語を締めくくる。「私に二本の燭台をくださった方が、天から私のことを見て、果たして満足していらっしゃるかどうかは、私にはわからない。だが私はできるだけのことはしてきた。」そう、人は変われるんだ、と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年5月8日
読了日 : 2022年5月3日
本棚登録日 : 2022年4月28日

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