異分野の二人の知の巨人の対話集。
批評家の小林秀雄(高校の教科書でお会いしました)
数学者の岡潔(日本数学史上最大の数学者・文庫の紹介文より。「数学する身体」の森田さん敬愛する数学者ですね。)というお二人。
ページ数は150ページくらい程。時間をかけて(かかってしまったのだけど)言葉を追いました。
ピカソやゴッホ等芸術について、ドストエフスキーやトルストイ等文学について、日本の教育、果ては日本酒のお話まで多岐に渡る雑談集。高尚な会話を楽しむには力量が足りず。ただ、お二人とも決して難解な言葉を使わず、ご自身の思想を柔らかく語り合っています。
岡潔先生は、日本民族としての性質を大切にされているようです。そして情緒という感性を重要視されており、ご自身の数学的世界を情緒に基づいて創造したと言われています。西洋的な自我、自己を中心とした自己について、又、理論や体系について否定的のようです。現状の積木細工の様な研究に危機感をお持ちでした。
情緒が先に育つ。満足には感情が必要。など、数学の世界に止まらない、知ることへの楽しさを示唆されているようです。
小林先生は、批評家の仕事を、考えるより言葉を探している。言葉に力があり、言葉が言葉を産む。それが文章になると。とても、正確な表現と思います。
お二人の著作を読んで、もう少し理解を深める事ができればと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年8月21日
- 読了日 : 2022年8月21日
- 本棚登録日 : 2022年8月21日
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