二年生になった奉太郎たち〈古典部〉の4人。
摩耶花は兼部していた漫画研究会を退部。
そして、仮入部していた一年の大日向友子が入部しないと言ってきた。
5月の末の「マラソン大会」の日、奉太郎は走りながら考え、過去を思い出し、事の真相を突き止めようとする。
前作で舞台となった「文化祭」と同様に、「マラソン大会」も高校生らしいイベントだけれど、奉太郎が走りながら推理するという物語の構成が、斬新で面白かった。
走るという単純作業の様子に加えて、「マラソン大会」の数か月前、奉太郎の誕生日に、大日向を含めた古典部の4人が奉太郎の家を訪ねてきたり、大日向の親戚が新しく開いた喫茶店に、モニター客として呼ばれたり、そこからの発展する奉太郎の推理が実にみごとだった。
大日向が退部したのは自分のせいだと思っている千反田のことを、奉太郎がどことなくかばって真相を突き止めているという空気が伝わってくるし、省エネ主義と言いつつ、奉太郎を中心に古典部の4人の絆が深まっているような感じがして、いいなぁ、青春だなぁと思ってしまう。
真相がわかったところで、人の気持ちにどこまで踏み込んでよいものか、このシリーズを読むと、やはりせつなくほろ苦さが残ってしまうけれど、甘さで終わらせないところがまたいいのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
米澤穂信
- 感想投稿日 : 2023年6月11日
- 読了日 : 2023年6月11日
- 本棚登録日 : 2023年6月11日
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