ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年8月30日発売)
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ガリア戦記6年目〜8年目(戦後処理)+ルビコン川渡河直前までの話。しかし、本当に不思議。ローマで活躍したのは実質的に執行官になった1年くらいなのに、ガリア戦記が終わるや否や、元老院の引きずり下ろしに対して、ガリアに居ながら手を打てるってどういうことなんだ。もちろんガリアでの活躍は華々しいのだけれど、民衆だけでなく、政治の中枢まで関与できるイメージがまったく湧かない。それほど突出した人間、文字通り時代の寵児だったんだと思う。

P177
虚栄心とは他人から良く思われたいという心情であり、野心とは、何かをやり遂げたい意思であると思っている。他者から良く思われたい人には権力は不可欠ではないが、何かをやり遂げたいと思う人には、権力は、ないしはそれをやるに必要な力は不可欠である。ところが、虚栄心はあっても野心のない人を、人々は、無欲の人、と見る。またそれゆえに、危険でない人物、と見る。かつがれるのは常にこの種の「危険でない人」である。

P196
しかし、人間誰でも金で買えるとは、自分自身も金で買われる可能性を内包する人のみが考えることである。非難とは、非難される側より非難する側を映し出すことが多い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年2月19日
読了日 : 2017年2月17日
本棚登録日 : 2017年2月17日

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