昭和40年代、現世と死後の国とを繋げる道があるというお寺のある、アカシア商店街という如何にも郷愁をそそる町が舞台である。
3話の『栞の恋』は以前テレビドラマで観たことがある。
本物のサリーが出演していて、オチが原作とは違った記憶がある。どちらも有りだと思う。
5話の『ひかり猫』、これは愛猫を失ったからこそ感じる切なさがある。
『世の中には―寂しい思いをしているものが、たくさんいる。』
現世で寂しい思いをしていたものは、死後も寂しいのだろうか。いや、思い出してくれる人がいればきっと寂しい思いはしないですむのではないか。
全篇、生けるものと死者が交差する不思議な話だが、恐怖感とか絶望という負の感情はなく、穏やかに自分の来し方、行く先を想像するゆとりを感じる物語である。
こんな小説を書く作家に興味がわいた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内作家
- 感想投稿日 : 2014年7月9日
- 読了日 : 2014年7月9日
- 本棚登録日 : 2014年7月9日
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