記憶をコントロールする――分子脳科学の挑戦 (岩波科学ライブラリー)

著者 :
  • 岩波書店 (2013年5月10日発売)
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感想 : 24

著者と堀江貴文氏の対談を見て興味を持ち手にとる。対談でエッセンスは抽出されていたが詳細を知りたく。なかなかに魅力的な説、実現すれば大きく世の中を変えてくれそうな期待が持てる研究。以下、備忘録的に。/記憶は海馬で短期保存され、大脳皮質に移され、長期記憶として保存される。海馬にある記憶は他の記憶と連合しやすく、大脳皮質に移された記憶は、連合しにくい。神経新生により海馬から記憶は消され、新たに記憶できる領域ができる。神経新生のコントロールで記憶がコントロールできるのでは、と。PTSDなど恐怖の記憶だけ消せるのでは、という説。神経新生を促進すれば、記憶力の低下もおさえられるのではという説。短期記憶は非常に不安定で、アルコール、麻酔などなどで忘却されやすい。記憶を書き換えたり連合したりアップデートするために、昔の記憶を不安定にしているのでは、という説。獲得された記憶は保持されている状態で記憶を思い出すと不安定化のサイクルに入り、再固定化されるという複雑なプロセスをたどっている。記憶は思い出さない限り不安定にならない、しかし、すべての記憶が不安定になるわけではない。意識というのは、超短期記憶ではないか、という説。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2015年6月16日
読了日 : 2015年7月5日
本棚登録日 : 2015年6月16日

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