三万年の死の教え チベット『死者の書』の世界 (角川文庫ソフィア 105)

著者 :
  • KADOKAWA (1996年6月21日発売)
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本棚登録 : 259
感想 : 19

修行してなくても、死体に、あるいは火葬後の霊魂に、僧侶が正しき教えを語りかけてくれれば、その教えに従い原初の光と合一できれば、ワンチャン、輪廻転生の輪から離れて解脱できるかも、て面白い考えだなあと。その教えが「バルド・トドゥル」つまり「死者の書」である、と。◆p.37の大日如来の図像、印象に残る。◆「生命のからだから離れた死者の意識は、自分自身の中から出現してくる、さまざまな光を見るのです。生きているときよりもかえって研ぎ澄まされている死者の感覚は、ラマの教えの記憶をとりもどしなさい、という先生の声をはっきりと理解できるのです◆「生と死のむこうにある、心の本質を知ることができたら、その生には意味があったということになるし、それができなければ、無意味なことを積み重ねたことにすぎないだろう」◆(オーストラリア原住民)テレパシーの能力に富み、宇宙を巨大な目に見えない力(強度)の流れとしてとらえ、宇宙に遍満するその力の流れのことを「ドリームタイム(夢の時間)」と呼んで、その「ドリームタイム」の力の流れに触れながら、彼らは充実した精神生活を送ろうとしてきたのです。(p.103)◆思想史に対して「三万年」という時間のゲージを採用してみることの大事さ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2022年6月30日
読了日 : 2022年6月25日
本棚登録日 : 2013年5月5日

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