世界の歴史 11

  • 中央公論新社 (1998年2月1日発売)
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感想 : 4

井上浩一「ビザンツ皇妃列伝」、栗生澤猛夫「タタールのくびき」つながりで。ビザンツの部分と、アレクサンドル・ネフスキーの項を読了。ビザンツ…確かに多彩な顔を見せる。身近な皇帝から皇帝専制、貴族連合の棟梁、教養ある文人皇帝から戦争の先頭に立つ軍人皇帝まで、熊使いの娘や孤児も皇后として許容される血統への寛容さから、ゾエの尊重、ヨハネス=カンタクゼノスの敗退に見る「血統の尊重」まで。領土も、マーレ・ノストゥルムふたたび、から、一弱小都市国家まで。公用語もラテン語からギリシア語まで。宗教も、聖像崇拝から、聖像破壊、神学論争、東の独立した教会から、教会合同派まで。外交関係も、宗教、民族とわず、融通無碍。特に、「もっとも狡猾なギリシア人」ミカエル8世。コンスタンティノープル回復もさることながら、「シチリアの晩鐘」事件が真骨頂。/「我にかかる事業をなさせ給うた神に栄光あれ。ソロモンよ、我は汝に勝てり!」(聖ソフィア教会の竣工式でユスティニアヌス1世)/「帝衣は最高の死装束である」(ニカの乱から逃亡しようとするユスティニアヌスを叱咤する皇妃テオドラ)/「シリアよさらば、何と素晴らしい国を敵に渡すことか!」(ササン朝からとりかえしたばかりのシリアをイスラム帝国に奪われたヘラクレイオス帝)/「おお、明けの明星が昇りはじめた。朝の星が昇る。彼の瞳に太陽の光が輝く。その前ではサラセン人も恐怖に蒼ざめて死ぬ。皇帝ニケフォロス!」(ニケフォロス2世を讃えて歌われた歌)/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2015年3月18日
読了日 : 2015年3月18日
本棚登録日 : 2015年3月18日

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