コンニャク屋漂流記 (文春文庫 ほ 11-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年3月7日発売)
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本棚登録 : 190
感想 : 18

なぜに縁もゆかりもない星野さんの一族や祖先の話が、こんなにも楽しく血湧き肉躍る感じで読めてしまうんだろう、と。舞台は、千葉・御宿町の岩和田から和歌山へ飛び、最後は戸越銀座に戻ってきて締めくくられる。一族の中にある、漁師的な気質と農民的な気質のせめぎ合いが描かれ、同じ外房でもちょっと離れると全く違う文化が広がっていたり。人はどんな時に家族の歴史を知りたくなり、それを伝えたくなるのか、それは終わりが近づいた時、と。今までそれほど知りたくならなかったのは近づいてると思ってなかったからかと我が身を振り返り。すでに話を聞く祖父母は亡くなっているのだけれども。古文書と寺を巡って墓碑を丹念に調べることで、祖先の来歴に著者なりの結論を出して行く過程はページをめくるのももどかしくなるくらいの圧巻でした。ロドリゴの要求に狡猾な外交術を見せる家康のシーンは印象に。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2017年8月12日
読了日 : 2017年12月28日
本棚登録日 : 2017年8月12日

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