祐介・字慰 (文春文庫 お 76-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2019年5月9日発売)
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感想 : 40

クリープハイプの存在を知ったのは、前職の後輩が10年前ぐらいに、イベントでDJしてたときにかけてた「オレンジ」を聴いて、好きになって買った覚えが。それからは他の曲も聴いたりはしてなかったけど、先日、喫茶つばらつばらで何気なく手にしたフリーペーパー「灯台にて」で尾崎世界観「祐介」が熱く語られていたので、居ても立っても居られず、買いに走りました。村上龍「限りなく透明に近いブルー」の生臭い血の味を思い出すとのことでしたが、個人的には、西村賢太「苦役列車」をマイルドにした感じと受け取った。絶えまなく描かれる周囲の人への怒り、嫌悪、悪意。主人公の彼らへの視線が伝わったかのように、バンドメンバーも何もいわずある日ライブに来ず、離れていき。細い線をたどってステージにあがったソロライブでも得るものはなく、ファンの子には「ある程度音楽でやってから、小説でも書けばいいじゃない。どこかの編集者にそそのかれて勘違いして、好きなだけ比喩を使って、小説でも書けばいいのよ」と言われ。ある意味窮地を救ってくれた小学生の「僕達、間違ってませんよね」が響く。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月6日
読了日 : 2022年11月5日
本棚登録日 : 2022年11月5日

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