不機嫌な果実 (文春文庫) (文春文庫 は 3-20)

著者 :
  • 文藝春秋 (2001年1月10日発売)
3.17
  • (38)
  • (119)
  • (262)
  • (66)
  • (22)
本棚登録 : 1876
感想 : 169
4

Audibleで聴いた。
林真理子さんを読むのは、「下流の宴」に続いて2冊目。

下流の宴は「家族・格差・愛」をテーマにしていたように思う。
一方こちらは、「男女・夫婦」がテーマかな。

マヤコという女性が主人公。彼女は美人で人妻。結婚して数年が経つが、婚姻生活に満足しているわけではない。
姑とソリが合わず、過去に逃した「ブ男」の弁護士には未練があり…という。

本書では、マヤコの奔放っぷりを見させられることとなる。
先述の弁護士だけではなく、過去に繋がりのあった野村という芸能関係者と会うようになる。
野村とは身体の関係を持つが、「旦那が手を出してくれないのが悪い」というのがマヤコの持論。
要は開き直りなんだけど、ここに拒否感を持つかどうかで本書との相性が大きく分かれそう。

自分の感想としては、まぁそういう女性もいるよな〜という感じ。誰しもが、ルールに忠実なわけではない。
それにしても、こういう「都合のいい女」を書くのが上手いというか何というか…。額面通りに受け取る読者にとっては「女って怖〜いw」という感想になるし、そうでない読者にとっては「なんだこの女は!けしからん!(でも続きが気になるから読んでしまう」となる。
両手取りが得意な作風。

それから彼女はまた、ミチヒコという別の男性と出会う。
彼はいわゆる上流階級的な男性で、音楽批評を生業としている。

野村と違って、ミチヒコに対しては、心まで惹かれていく。
この時点で初めて、マヤコは罪悪感を抱くことになる。

それから結末は伏せるけれど、一応「勧善懲悪」っぽい終わりになったのかな?都合のいいまま終わらなかったのは、小説としてきちんと「オチた」感じがした。
というかそうでなければ、単なる不倫エッセイで終わってしまう…w

1つ補足するなら、元旦那の設定がテンプレすぎるというか…
結婚したら淡白になった旦那。妻よりも母にベッタリな旦那。「別れたい」に真面目に取り合わず、本気を見せたら逆ギレしてく旦那。
ちょっと物語に都合が良すぎるようなw

総評としては悪くなかった。
それなりに楽しめる大衆小説。だけど、☆5つではないかなぁ…。下流の宴のほうが良かったね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月30日
読了日 : 2023年4月30日
本棚登録日 : 2023年4月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする