マーガレット・アトウッド『侍女の物語』の続編。前作は「侍女」のオブフレッドのひとり語りという形式だったが、今回は3人の登場人物がリレーのように順に語っていく。『侍女の物語』がギレアデ国家の安定期の出来事であったのに対して、『誓願』は崩壊前夜、というか崩壊の契機を作り出した女性たちの物語。『侍女の物語』が出版されてからかなりの年月が経っているので、まさか続編が読めるとは思わなかった。今回もまた終わりにギレアデ歴史研究会のシンポジウムの様子が描かれている。小説のなかの出来事ではあるが、悩みや苦しみも含めたそれぞれの女性たちの意図から紡がれる物語の後にいくら時間が経っているとはいえ「お気楽な」感じの研究者たちの様子を読むと、両者の対称性にイラッとする。後世の歴史家が再構築できることには限界があり、「歴史」として記録されたり知られたりすることはほとんどない、女性たちの生き様があるのだということを忘れてはいけないという著者の思いも込められているのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年10月24日
- 読了日 : 2020年10月24日
- 本棚登録日 : 2020年10月24日
みんなの感想をみる