ハサミ男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2002年8月9日発売)
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本棚登録 : 18027
感想 : 1825
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初めての殊能将之さん作品。
こちらもフォローしている方々の本棚で多く拝見したので、気になって手に取りました。

最初、状況を掴むまで少し時間がかかったけれど、どんどん引き込まれて終盤には先が気になって読むスピードが自然とあがる。最後、まんまとトリックにハマってしまった!気づけなかったのが悔しいけれど、すぐさま再読していろいろ確かめたくなっちゃうくらい奥深くて面白い。

主人公:ハサミ男は、普段は派遣(契約)職員として真面目に働き職場での評価も高い。けれどそれは表の顔。実際には過去に2人の少女を殺害しているし、3人目の標的を決めて着実に準備を進めながら土曜日には自殺を色々試している。その描写は結構リアルでキツかった。
話の中ではハサミ男について詳しく説明はなかったが、行動も思考も一般的なものからかけ離れていて、一種のパーソナリティ障害を抱えている人物なんだろうなと思う。
ハサミ男として第3の殺人を実行する予定が第一発見者として居合わせることになり、誰が何のために自分を真似て殺害したのかを知るために1人調査を始める。その過程でこんなにも周りの人は気づかず騙されてしまうのかと数々の行動に唖然。一種のプロ。

この物語全体が「普通」では片づけられない様々な人の心理が交差しているように感じた。
終盤、真犯人が分かってトリックも分かったときの刑事たちの経験からくる推測と行動にも驚いた。すごい。
でもあともう一歩!気づいてほしかった。

最後もゾワゾワした!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年5月31日
読了日 : 2022年5月18日
本棚登録日 : 2022年4月5日

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