ハサミ男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 7360
レビュー : 1026
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735223

作品紹介・あらすじ

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 「ハサミ男」
    自殺願望と殺人願望を持つサイコキラーのお話。


    ハサミ男という奇妙なタイトルから、殺人鬼の話であろうと容易に推測できる本作。プロットは「一人称」から始まる章と「三人称」から始まる章の組み合わせになっています。


    「一人称」の“私”は、自殺願望と殺人願望を持つ通称ハサミ男であり、ターゲットをいざ殺そうとしたある日、何者かにターゲットを殺されてしまう。先を越されたハサミ男は、殺人者から一転第一発見者として警察と遭遇する。ハサミ男は、当惑する。誰が、私より先に殺人を実行したのか。どうやって私と同じ犯行を行ったのか。そして、何故私の犯行を模倣したのか。ハサミ男は、いつも世話になっている医師に諭され、行動を開始する。サイコキラーがキラーを追う日々が始まる。


    感想は、とても面白い。それに尽きます。叙述トリックと言えば、まずはコレ!と言われる理由がよく分かる小説で、伏線と仕組みが良いので、ころっと騙されることができる。叙述トリックの小説を結構読んでいる人だと薄々勘づくことが出来ると思いますが、勘付いたとしても面白さは落ちないですね。他の点については、触れるとどうしてもネタバレになってしまうので、是非読んで下さいとしか言えません。


    全体的に満足ですけど、最後の締めがもうちょっと固まっていれば尚良かったかなと思います。しかし、ハサミ男という狂気に満ちながらも死を所望している特質な性質を考えると、あの結末の方が後味が悪くて良かったかなとも思います。


    お勧めの一冊であるのは間違いないですね。

  •  ん~。おもしろかった。
    1/5くらいまでは すご~~くおもしろかった。
     犯人目線と 警察目線が交互にでてきて 映像がうかんできてよかった。
     ハサミ男が模倣ハサミ男に先を越されてしまったってすごい設定だとおもった。
     しかし、自殺のところはグロすぎる タバコ飲むって…
    自殺したいのか殺人したいのかわかなくって、多重人格のところもおもしろかった。
     途中のすごい展開で わからなくなって 最初の方を読み返した。だまされ続ける 読み手…
     でも、読み終えるとなんだか 消化不良だな。

  • 天神・天狼院書店の店員からおススメされて購入、読了。
    ジャンルとして「古典」に分類されるらしく、そういった意味でも興味を持った一冊。
    昔プレステのクロックタワーににハマっていた私、最初は一気にシザーマンのあのビジュアルが浮かびました(笑)
    無知でごめんなさい…

    いやー、この本かなり面白い!!
    先の展開が気になって一気読みでした。

    まず、設定が凄く良いです!
    美少女を殺害し、ハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。
    しかし、三番目のターゲットを狙う途中、自分の手口を真似て殺されたその彼女の死体を発見することになる。
    その模倣犯を、逆に「ハサミ男」が探すという展開。
    書店員さんにあらすじを教えてもらった時点から、だいぶ気持ちを持って行かれてました(笑)

    この小説の面白さは、何と言っても壮大に張り巡らされたミスリードの仕掛け。
    感の鈍い私は、100%何の疑いもなくキレイに騙されました(*´∀`*)
    ん?ん??んんー!!??ってなって、何度もページをめくり直しました。
    いやぁ、既にここから仕掛けが…ってトコロから始まってますね。
    完全にしてヤラれ、めっちゃ爽快でした( ´∀`)
    コレ、みんな気付くのでしょうかね?

    また、作品に深みを与えているのが細かく描かれている「ハサミ男」の心理描写です。
    ハサミ男の思考、行動に至るまでの流れがとても細かく書かれていて、その精神異常っぷりにゾクゾクします…
    でも本当にこんな感じなのかな?と思わせる妙なリアリティーもあり、そこは作者の筆力でしょうか。

    あと、オチが分かった後にもう一度読み返すと分かるのですが、非常に巧みでフェアな文章で書かれています。
    矛盾する点が全く無いので、すごく納得感がありますね。
    私のような人間には悔しさ倍増ですがm(_ _)m

    最後の終わり方もなかなか良い味出してます。
    浦沢直樹さんの「モンスター」を思い出したのは私だけでしょうか(笑)

    きみの名前はなんていうの?

    <印象に残った言葉>
    ・ファストフードのコーヒーは濃すぎるし、ファミリーレストランのコーヒーは薄すぎる。これが外食産業の第一法則である。(P40)

    ・もうひとつ、わたしにはとても見慣れたものがあった。ハサミだ。ハサミ男の象徴、テレビや雑誌がセンセーショナルに報道したあのハサミだった。樽宮由紀子の首には、遠い街灯の光に鈍く輝く銀色のハサミが突き立っていた。(P85)

    ・その声を聞いて、わたしは男が誰か思い出した。(P403)

    ・とても頭のよさそうな子だった。「きみ、名前はなんていうの?」と、わたしは訊ねた。(P502)

    <内容(「BOOK」データベースより)>
    美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

  • 脳天にハサミが突き刺さるほどの衝撃。二度目の読了ながら、忘れていたこの感覚。
    未読かつネタバレを食らっていない幸せものは、今すぐ読むことをオススメします。

    ぬけぬけと大掛かりなトリックをぶち込みながら、それすら踏み台にした、完全無欠のミスリード。本格ミステリ界の名作として名高い理由は、これに尽きる。

    紙をなだらかに切るように、スーッと状況説明が入ってくる文体。非常に明快で、腑に落ちるあの大円団は、じつは物凄いことをやってのけている。

    しかもハッピーエンド!?というはなれわざ。
    語り継がれる古典として、必ず後世に残るであろう。

  • これぞ叙述トリック!という作品。
    確かにじっくり読めばあちこちに違和感はあるので、この手の小説を読み慣れてる人には分かってしまうかも。(私はきっちり騙されたけど。)でも、この作品は素直に騙されて読むことをお勧めしたい。

    物語は、ハサミ男と呼ばれる連続殺人鬼が3人目のターゲットをつけ狙っていたところ、自分の犯行を真似た手口で殺されたターゲットの遺体を発見するところから始まる。

    ハサミ男の視点と、警察の捜査が交互に描かれ、じわじわと犯人に迫っていくハラハラ感はまさに倒叙ものの醍醐味。
    そこに、模倣犯を探すハサミ男の捜査も加わり、さらに面白くなっていく。

    女子高生ばかりを狙うシリアルキラーでありながら、週末ごとに自殺を繰り返す自殺志願者。医師と呼んでいるもう一人の人格。何か複雑な内面を抱えているのは分かるんだけど、ハサミ男の性格とか犯行の動機とかが、いま一つ理解できず共感しにくかった。
    それでも、どんでん返しがすごい小説としてよく名前があがるだけのことはある。亡くなってしまったのが、今更ながら惜しまれる。

  • ・あらすじ
    少女連続殺人犯「ハサミ男」が第三のターゲットの殺害目前に「偽ハサミ男」に標的を殺害されてしまい「ハサミ男」が「偽ハサミ男」の正体を突き止めることに…
    ・感想
    今作は殺人犯(今回の犯行に限っては犯人ではない)が探偵役というポジションで立ち振る舞うユニークな構造が面白い。探偵役パートでの一人称「わたし」という呼称は多いにミスリードに貢献していると思う。正直、出し抜かれてしまった。「わたし」に騙された。続きが気になるあまりイッキ読みしてしまったが、作りが丁寧で、ヒントが散りばめられていたにまんまと引っかかってしまった。再読前提でグイグイとページを進めて、また舞い戻りたい。

  • 毎回死体の首にハサミを突き刺すハサミ男。次のターゲットを殺す為に近づくがそのターゲットは既に殺されていた。しかも首元にはハサミが突き刺さっている。いったい誰が殺したのだ!?
    500ページ程ありますが、半分の250ページまできても犯人の見当が全くつきません。そしてクライマックスは見事でした。オススメの一冊!!

  • ああこれは本当にやられた、まんまと騙された。
    思わずうわーっ…という声を上げてしまった。

    どこで?と思って見返すとちゃんとそのとおりになっている、これこそ文章の醍醐味なのかもしれない。
    きっと二回目読んだら印象も変わってくるのだと思う。

    文章のトリック部分の見事さに目が行きがちだが、わたしと医師の対話も面白かったし、なにしろ“わたし”の知能の高さに魅了された。(決して好かれる立場の人物ではないだろうに。前半で引っかかったトリックのままの外見でも十分魅力的だった。)

    これは好き、面白かったです!

  •  文庫版で再読。追悼の意を込めて。
     もともと作品自体が少ないひとだけどね、殊能は。とりあえず二番目に好きな「子どもの王様」と一番好きな「ハサミ男」を数年ぶりに読みました。
     なんだろうね、やっぱりこう、初読時の衝撃というのはないわけですけれども。そもそも再再読? くらいなわけですけれども。すげぇな、と思う。なんかね、一言で言い表すとすごく陳腐になるけれども、きれい、って思うね。ミステリ的トリック、物語的トリック、加えて狂気性。どれもがきれいに組み込まれて、きれいにまとまってる。そんで最後の一行で、きれいにぶっ壊れた、そんな印象。秩序ある狂気、秩序ある破壊が好きです。
     世間からシリアル・キラーと思われているハサミ男が、自分の犯行を模したであろう死体を発見してしまうところから始まる物語。本物が模倣犯を探そうとするという形式も面白い。間違いなく名作。
     抜粋。「医師」のセリフより。

    「ひどい本棚だな。漫画と実用書ばっかり。しかも、整理のしかたがめちゃくちゃだ。コンピュータ・マニアってのは、ペーパーメディアはどうでもいいと思ってるのかね。こういう本棚の持ち主は、惨殺されてもしかたがないな」

  • ミステリー小説。
    本当の連続殺人犯が、その模倣犯を探すストーリー。最後まで真犯人がわからず、非常に面白かった。
    女子高生を絞殺し、首にハサミを突き刺すという無差別連続殺人。同様の手口の殺人事件が発生し、その第一発見者が実際の連続殺人犯。しかも被害者は、連続殺人犯が次のターゲットとして狙っていた人物。
    最後まで読んで初めて謎がわかった。すぐにパラパラ読み直して、プロットをいちいち確認して全部が納得できた。

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2016年 『子どもの王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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