春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房 (2004年4月16日発売)
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48年生きてきて、これまでの人生をふと振り返る。
優しい夫と結婚し子宝にも恵まれた。
その子供たちもすくすく成長し、やがて親元を離れそれぞれの家庭を持った。
それら全てが順風満帆。全てが理想通り。
自分は勝ち組なのだと信じて疑わなかった、けれど…。

旧友との偶然の再会から、これまでの自分の半生に疑問を持ったジョーン。
自分の半生は、本当に勝ち組なのか。
目の前の真実に、見て見ぬふりをしていただけではなかったか。

自分に対する、夫や子供たちからの"真の"評価なんて、知らない方がいい。
こんなの疑いだしたらきりがない。
知らぬが仏、とはこのこと。
下手なミステリよりずっとミステリアスな物語だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アガサ・クリスティー
感想投稿日 : 2022年11月12日
読了日 : 2022年11月11日
本棚登録日 : 2022年11月7日

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