サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)

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感想 : 87
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二編あったが、どちらも戯曲形式になっている。

前者はサド侯爵の噂話を通じて、その有り様が伝えられていく。時間の跳躍があり、心模様の変遷が語られていく。母と娘の気持ちの行き違いがあって、それが交差していく。サドの狂気は全面に出ないが、その受け止め方にこそ狂気がある。しかし、幻のサド侯爵が現実になると、とたんに、その狂気も冷めてしまう。

後者はヒットラーとレームの友情が語られていく。しかし、レームはヒットラーの命令で殺される。それに関する描写がないので、実感が湧かない。極左の人間と、極右であるレームは話をするのだが、私の予想では、そこに密告者がいたということでの射殺かもしれないとも考えたのだが、左も右も殺してしまえば中道路線を保てるというヒットラーの天才が成し遂げたというのが、正しい読み方のようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2020年12月6日
読了日 : 2020年12月6日
本棚登録日 : 2020年12月3日

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