伝説の土地と伝説の場所、多くの人々がどこかに存在する、あるいは過去に存在したと本気で信じ、その信念が幻想を生み出した土地と場所。平板な大地、聖書の土地、七不思議、プレスター・ジョン、エルドラド、アトランティス, etc.ウンベルト・エーコの碩学がこれらを愛と冷静な眼の双方で語る。もちろん、置いてけぼりにならないようにするのが精いっぱいでとても全部は理解できない。
こういった想像力の産物を見るに、人間の想像力というものは無限のようで実はきっちり枠があるのと理解できる。あくまで当時の宗教、科学、常識の範囲内で目いっぱいイマジネーションの羽根を膨らませた結果の産物であることが後世の眼で見ればよくわかる。
多くのページを割いてきちんと原典の抜粋を引用しており、資料的価値は抜群に高い。挿絵、絵画、学術資料などの図版も非常に豊富で眺めるだけでも楽しい。全15章のうち、わざわざ1章を割いてレンヌルシャトーの捏造を書くあたり、よほど腹に据えかねるものがあったのだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
美術
- 感想投稿日 : 2015年12月26日
- 読了日 : 2015年12月26日
- 本棚登録日 : 2015年12月26日
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