文字通り「犯罪」の短編集。
薄い本で11も短編があるので、1篇あたりのページ数は少ない。あいかわらず感情が書かれず淡々と描かれているのは読みやすい。しかし、気をつけないとただの調書というか、判例集みたいな感じになって「だから」とか「あっ、そう」みたいな感想になってしまいそう。
3冊目にしてやっと著者のデビュー作。
この人、刑事事件の弁護士さんだけにいろいろなネタを持ってますね。
1番好きなのは「棘」かな。
精神が壊れていく過程がおもしろい。
それから「緑」という作品で、自分もまちがって思い込んでいた知識が改善された。
「18という数字が怖いんだ。18は悪魔だ。6が三回で18。わかる?」
私はきょとんとした。
「黙示録。反キリスト。獣と悪魔の数字なんだ」
(中略)
「――ヨハネのいう666は悪魔じゃない。ローマの皇帝ネロを暗示していたんだ」
「えっ?」
「皇帝ネロをヘブライ語読みにして、それぞれの子音の持つ数値を合計すると666になる。それだけのことだ。ヨハネは名指しすることができなかったので、文字を数字に置き換えたのさ。反キリストとはなんの関係もない」
まさに「えっ?」ですよね。
これ、知らなかったー。
オーメンに騙されてた(笑)
今度から仲間内で飯食いにいったときなんかでお釣りが666円になったときに使えるな。よし。φ(`д´)メモメモ...
そういや、作中にいちいちリンゴが出て来るし、最後のページにはドイツ語で「これはリンゴではない」と意味ありげに書かれていた。
オッシャレ―なんかね? なんかの隠喩かね? キリスト教の原罪的な。裏表紙もリンゴだったし。
残念ながらこちとらバリバリのアジア人で日本人だから知ったこっちゃねーわ。
味噌汁で顔を洗って出直してきやがれー(笑)
- 感想投稿日 : 2023年6月21日
- 読了日 : 2023年6月21日
- 本棚登録日 : 2023年6月21日
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