災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

  • 亜紀書房 (2010年12月17日発売)
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感想 : 74

災害時に自然発生的に立ち上がる、利他的コミュニティについて。
集団的に困難に直面した人々は、短期的な目標が当面の生存などに収斂しやすく、災害ユートピアが成立する。
災害時には人々は孤独な野蛮人に戻るのではなく、自発的に利他的なコミュニティに参加するということを広く知らしめた点が本書の意義。
一方、実際には災害時の略奪は少なく、権力こそが阻害要因であるという筆者の主張は、ときに極端でもあることは否めない。
災害時の行政とかのあり方としては、市民は迷える子羊か解き放たれた野蛮人ばかりではなく、災害ユートピアなる現象があることを認識して、災害時における市民社会の自発性をより重視していくというアプローチが求められるんだろうな、と感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年5月17日
読了日 : 2020年5月16日
本棚登録日 : 2020年5月16日

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