転落死した男子中学生をめぐって、被害者家族、加害者とされる少年たちとその親、学校、警察、検察までも巻き込んで、それぞれの感情と思惑が錯綜する様子が描かれている
死亡した少年の背中にはつねられ内出血した痣が数多く残っていた。携帯には、いじめられていたことを窺わせるメールが
自殺か? いじめによる殺人か? 事故死か?
真相を明らかにすべく刑事と検察官の取り調べが並行して行われる
読んでいて一番感じたのは、中学生とは何と不安定で危なっかしく、掴みどころのない世代なのかということだ
文中にも中学生を評してこんな描写がある
自分の意思とは異なることを、なぜか起こしてしまう。彼らが一番恐れることは、孤立で、ノリが悪いとか、真面目だとか、そう思われたくないばかりに常識を踏み外してしまう
池に浮かぶ水草のように根っこがなく、不安定
おまけに集団の空気にいとも簡単に呑み込まれ、流される
ゲームと現実の区別がもっともつきにくい年代ゆえに、中学生には陰惨な事件が多い
子供でもなく、もちろん大人でもない
子供から大人へと成長するために、絶対に通過しなくてはならない大きなハードルのようなものなのか
大人には見せない中学生の世界が実に巧みに描かれている
自分の中学生時代のあれこれを思い出しながら、楽しいことももちろんあったが、友達関係でしんどいことも多かったことを思い出した
大人になってしまえば、ああ、あの頃は・・・と思い出して、どうってことないのだが
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月5日
- 読了日 : 2020年8月5日
- 本棚登録日 : 2020年8月3日
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