月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2012年6月27日発売)
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一介の平凡な高校生の陽子の前にいきなりケイキと名乗る男が現れ、ヒョウキという獣の背中に乗せられ虚海を潜り抜け、異界へと連れ去られる

天には凍えた満天の星、真っ暗な海に白く月影が浮かんでいる。沸騰したように水柱を上げて荒れ狂う海の中へ突っ込んでいく
この巻のタイトル『月の影 影の海』は、ここからきているのだろう
異界へと運ばれていく描写は、素晴らしかったが、めくるめく情景を頭に浮かべながら読むのは、とても難しく疲れた。アニメーションで見たいなとも思った

映像は何とストレートに安易に情景を伝える手段なんだろうと今更ながらに思う

初めは、ここはどこなのか? なぜ連れてこられたのか?
なぜ戦わねばならないのか?と???ばかりの陽子だったが、次から次へと襲ってくる妖魔との闘い、味方かと心許した相手の度重なる裏切りと失望の中で、次第に生への執着を露わにし、たくましくなっていく
生き延びる。生き延びて、必ず帰る。それだけを望みに陽子は戦うのだった

しかし、何としても帰ると誓う陽子が刀身の中に見たものは、担任やクラスメートの辛辣な本音
「中嶋陽子は優等生ではあったが得体の知れない子だった
「中嶋さんって、八方美人で嫌い」
「正直言っていなくなってすっとしてます」
これが、陽子が帰りたいと切望している世界とはあまりにかわいそうすぎる

陽子の行くべきところはどこなのだろう?
陽子が帰るべきところはどこなのだろう?
と思った

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年5月24日
読了日 : 2020年5月23日
本棚登録日 : 2020年5月19日

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