期待に胸をふくらませて開いた本の世界で、お金を払わなくても手に入るという意味で無価値な、ひそくいろの空と鳥の子いろの雲をつないだ真珠いろのコインを集めて、心の貯金をするように、風景の彩りに一つ一つ名をつけていくように、ピアノの音の特別なひびきを耳にして、長い伝統を受け継ぐように、ボロ布をぬい合わせたような不穏な風景を、美しき襤褸の風景へとねじるように、わたしは時を走った。
夢のしずくが土瀝青を染めて、完ぺきな歩道へと変わりゆく。家族や友だちとわたしは、その歩道を駆けてゆこうとする。夢から夢へ。愛から愛へ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
スペイン・ポルトガル
- 感想投稿日 : 2020年11月2日
- 読了日 : 2020年10月11日
- 本棚登録日 : 2020年10月27日
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