マジシャンによって巧妙な仕掛けが周到に準備された物語。
上映開始を告げるブザーが頭の中で鳴り響き、読書に最適な姿勢をとるように全身へ信号が行き渡ったので、わたしは自動人形みたいに視線をページの端から端まで規則的に往復させ、ページを繰り一息に読んだ。これは本で、その上で映画で、両立するはずのないそれらが融合して溶けあい、言葉が絵を描き、絵が言葉を紡いでいた。
〈終わり〉の字幕が現れても、わたしはまだ席を立ちたくないと思う。映写機は回り続けているだろうから。目を開けたまま見られる夢をみている。しばらく、そのままで。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本・児童書
- 感想投稿日 : 2021年1月18日
- 読了日 : 2021年1月18日
- 本棚登録日 : 2021年1月18日
みんなの感想をみる