ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年8月30日発売)
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感想 : 152
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これまでの巻でカエサルは登場していたものの、彼を中心として書いたものではないので、この巻では時計の螺子を巻き戻すように、スッラの活躍した時代の事などの歴史的事実が再度書かれています。著者も重複していることは承知ですが、それはカエサルが37歳にしてようやく起ちはじめたからです。それ以前の彼の出自や青年時代の期間の方が、年月にすると長いからなのです。同時代には若き凱旋将軍として大衆に人気があったポンペイウス、小カトーやキケロなど名だたるこの時代の権威者たちを巧みに退け、頂点に近づいていきます。首が回らないほどの借金があり、やたら女にもてたが恨まれることがなかった、というカエサルの人柄。カティリーナの陰謀を弁論する場面の演説は、著者が長いがと理りながらも何故引用したのかがわかります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 塩野七生
感想投稿日 : 2017年2月19日
読了日 : 2017年2月16日
本棚登録日 : 2017年2月19日

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