第二次世界大戦の勝敗が逆転した世界の代名詞として使われることもある作品であるが、その設定自体は本作以前から存在するようで。だとすると本書の独創性はどこにあるのか。
確かに物語の中で登場人物たちがさらにその逆の世界(つまりは正史)を描いた小説を読み耽るという二重構造にフックはあったのだが、その設定が十全に活かされていたとは思えず。
そもそも本書は『結末のある物語』とは言い難く、あくまでそういう世界に生きる人達の一場面の切り取りでしかない。しかも状況をコントロールする側でなく、翻弄される側の人たちが『如何に困らされているか』を示すのみで爽快感はない。
さらには延々と続く人種差別思想描写には辟易するし、全ての判断を卜占に頼りすぎで感情移入するのも難しい。
本作が自分に合わなかったのは、時代性によるものだろうか。別の著作も試してみたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年8月26日
- 読了日 : 2023年8月26日
- 本棚登録日 : 2023年8月26日
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