刑罰

  • 東京創元社 (2019年6月12日発売)
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感想 : 49
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初読

最近改めて「地の文で登場人物の心情の説明や
著者の主張を雄弁に語るものが幼稚でダサくて許せない」
の思いを強くしてたのだけど
あ、究極の削ぎ落としはここだったな、と思い出すなど。

タダジュンさんの装画、酒寄進一先生の訳で
シーラッハの短編を夜に少しずつ読み進めるこの喜びよ

冒頭カタリーナの「参審員」はなかなかピンと来ないな、
と思ってたら妻への傷害の罪の被告人の、その妻の証言。
まだ若く結婚して半年の時に買った空色のビートルのカブリオレ。
洗車し、磨き、輝く車に見惚れ、夫を幸せにしたいと思った。
素敵な人生を過ごし、ずっと連れ添いたい、と。
にいきなりやられてしまった。
そうだった、これがシーラッハだ。

無罪にした男が子供を殺してしまったのをきっかけに、
堕落した弁護士がかつての依頼人の協力で無罪を勝ち取る「逆さ」

夫の罪を被り出所するも復讐を果たす「青く晴れた日」

印象的なハッピーエンド、人形性愛の「リュディア」

優雅さと突然のコントラストが強い「隣人」

子男の伝記のコレクションが興味深い、
結果ラッキーな「子男」

私が彼女だったら、まぁ、同じ事するかもな…な「ダイバー」

こういうことってあるよな…盲人と少年の一瞬のやりとり。
「臭い魚」

資産があってもあかんのか「湖畔邸」

あまりにも重くて、あまりにも苦い「奉仕活動」

テニス、階段に置いた真珠、ウサギを飼う男「テニス」

恵まれた人生と結婚のよくある終わりと滅多にない不幸、
犯してない罪への受けるしかない罰「友人」

今回も、まったくお見事。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2020年7月30日
読了日 : 2020年7月30日
本棚登録日 : 2020年7月30日

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