初読
最近改めて「地の文で登場人物の心情の説明や
著者の主張を雄弁に語るものが幼稚でダサくて許せない」
の思いを強くしてたのだけど
あ、究極の削ぎ落としはここだったな、と思い出すなど。
タダジュンさんの装画、酒寄進一先生の訳で
シーラッハの短編を夜に少しずつ読み進めるこの喜びよ
冒頭カタリーナの「参審員」はなかなかピンと来ないな、
と思ってたら妻への傷害の罪の被告人の、その妻の証言。
まだ若く結婚して半年の時に買った空色のビートルのカブリオレ。
洗車し、磨き、輝く車に見惚れ、夫を幸せにしたいと思った。
素敵な人生を過ごし、ずっと連れ添いたい、と。
にいきなりやられてしまった。
そうだった、これがシーラッハだ。
無罪にした男が子供を殺してしまったのをきっかけに、
堕落した弁護士がかつての依頼人の協力で無罪を勝ち取る「逆さ」
夫の罪を被り出所するも復讐を果たす「青く晴れた日」
印象的なハッピーエンド、人形性愛の「リュディア」
優雅さと突然のコントラストが強い「隣人」
子男の伝記のコレクションが興味深い、
結果ラッキーな「子男」
私が彼女だったら、まぁ、同じ事するかもな…な「ダイバー」
こういうことってあるよな…盲人と少年の一瞬のやりとり。
「臭い魚」
資産があってもあかんのか「湖畔邸」
あまりにも重くて、あまりにも苦い「奉仕活動」
テニス、階段に置いた真珠、ウサギを飼う男「テニス」
恵まれた人生と結婚のよくある終わりと滅多にない不幸、
犯してない罪への受けるしかない罰「友人」
今回も、まったくお見事。
- 感想投稿日 : 2020年7月30日
- 読了日 : 2020年7月30日
- 本棚登録日 : 2020年7月30日
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