東野圭吾さん10冊目。850pの辞書のような厚さに躊躇し、気になりながら長らく未読でした。
文章量の多さもさることながら、内容が濃密で構成も精緻、のめり込む程の充実した読書でした。心揺さぶられ、呆然とすること暫し‥。こ、これはまさしく衝撃的な傑作! 凄い一冊だ! と感服しました。
1973年、大阪での殺人事件。被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂。いずれも小学生。
この事件を発端に、19年に亘る不可解な事件の数々が時系列に描かれている印象ですが、亮司と雪穂が何度も見え隠れし、この2人の長い時間軸を根幹とする壮大な物語であることに気付かされます。
2人の朧げな像は、輪郭さえも焦点化できません。と言うのも、2人の心理描写のない構成で、読み手には(他の登場人物にも)事の真相が伝わらないのです。2人の行動から、徐々に(読み手に)2人が交錯し、その関係性に気付ける構造・展開です。実に巧みです、狡いくらいに‥。希望の見えないダークさも狡く(?)、議論の対象になるかも‥。
白夜、英語でMidnight Sun。陽の当たらない世界で生きる上で、お互いが微かな希望足り得る真夜中の太陽だったのかもしれません。
罪を共有した男女の道行きを『白夜行』と命名し、余りにも哀しく切ない物語に仕上げた東野圭吾さんの、その巧妙な手腕に脱帽です。暫く読後の余韻に浸っていたいと思わせる、ミステリーの大傑作でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年5月12日
- 読了日 : 2023年5月12日
- 本棚登録日 : 2023年5月12日
みんなの感想をみる
コメント 4件
あゆみりんさんのコメント
2023/05/12
NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2023/05/12
あゆみりんさんのコメント
2023/05/13
NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2023/05/13