臆病者のための株入門 (文春新書 514)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年4月20日発売)
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本棚登録 : 2638
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橘玲さんの著書。
資産運用をお金を増やす手段ではなく、将来の予期せぬ経済的な変動(主に損失)から自分や家族の生活を守る手段としてみた場合に行うべき行動と避けるべき行動をまとめた一冊。

序盤は資産運用を始める前に知っておきたい知識として、貯蓄だけで億万長者になる方法・年金問題を最も簡単に解決する方法が説明されている。つまり、この2つについてはわざわざリスクある資産運用をせずとも達成できるので、資産運用をしないという手段もあるということを言っている。
中盤は株式投資・為替(FX)・不動産投資についての仕組みと損をしたくない人に向けた投資戦略が書かれている。これにはマイホームについても書かれ、いかにマイホームがリスクが高い買い物かが書かれている。
終盤はこれからの日本の未来についての経済的な不安とその不安にどう対処するかが書かれている。

本書が特出しているのは、如何にして資産を増やすかではなく、資産を守るかに重点をおいていることにある。本書は購入者が知らず知らずのうちに損をする可能性が高い投資商品を網羅的に解説しているので、本書を読むことで買うだけで損をする罠を避けることができるようになる。
お金を守る力を育てたい人は一読してみることをおすすめする。

ただ、読んでいると著者の皮肉めいた表現が不快に思う人がいるかもしれないのでそこをご容赦願いたい。たとえば、本書のあとがきのタイトルは「金融リテラシーの不自由な人に感謝を」である。このように少々表現が過激なところがあるが、内容は勉強になるものが揃っている。

本書のキーフレーズ
資産運用は金儲けの手段ではなく、人生における経済的なリスクを管理するためにある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: お金の教養
感想投稿日 : 2020年8月16日
読了日 : 2020年8月16日
本棚登録日 : 2020年8月16日

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