小説の言葉尻をとらえてみた (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2017年10月17日発売)
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三省堂国語辞典の編集員を務める筆者が、辞書に取り上げる言葉を選ぶため、そしてその用例を探すために小説を読んでいる、その方法を紹介している本です。

取り上げられている作品は『桐島、部活やめるってよ』や『風が強く吹いている』『俺たちバブル入行組』『残穢』など多くの読者がいる(=それだけ日本語として広くうけいれられている)作品で、本書で言及されている「いままでに辞書にない言い回し」はどれも「新しい/珍しい」日本語の使われ方でとしてとても参考になります。
そもそも、小説のなかで使われる日本語に「誤用」はない(=日本語の使いかたも含めて「表現」なので)という視点は、いたずらに作者やその作品のファンを傷つけることもなく、読んでいて不快に思うことがありませんでした。
文体が軽やかであるだけでなく、文章の端々から筆者の日本語への純粋な興味や愛情を感じられることもその理由かもしれません。まさに「小説を読みながら、一つ一つのことばに引っかかって、じっくり考える面白さ」を体感させてくれる本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2021年11月20日
読了日 : 2021年11月20日
本棚登録日 : 2021年11月20日

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