こころの最終講義(新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2013年6月1日発売)
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本棚登録 : 15
感想 : 1
5

この内容が600円弱で読めるというのはすごいと思う。安定の面白さ。ユング心理学から始まって、日本人の深層意識を民俗学や宗教観を元に紐解いて行く。特に面白いと思ったのは隠れキリシタンに伝わる教義が本来のキリスト教から変化していることに注目し、その変化の部分に日本独自の考え方があることを考察して行くところ。
西洋との対比の中で、西洋人が自我や個をアイデンティティに置くのに対して、日本人が全体との関係性をアイデンティティに置くというようなことも書かれており、とても分かる。人間は全体性と個の間を揺れ動き、それが統合されて行く事が心の成長なのだろうと思う。
神話は心が世界を見るためのもの、という事が繰り返し述べられている。これは自分の神話を日々アップデートしていくことで、世界をより良く理解出来るようになることを意味すると思う。心の成長のために役立つ考え方だと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2018年2月21日
読了日 : 2018年2月21日
本棚登録日 : 2018年2月17日

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