九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

  • 早川書房 (1976年7月1日発売)
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感想 : 178
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transcendentalさんのレビューを読んで、
https://booklog.jp/users/transcendental/archives/1/415071102X
恥ずかしながら、まったく知らなかった作家・作品だったのだが、
興味を持ち、購入。

大学の英文学教授ニッキイことニコラス・ウェルトの名推理を、
友人で、法学部教授を辞し、
郡検事となった語り手の「私」が綴るシリーズ、全8編。
表題作の原題は「The Nine Mile Walk」。
推論について論じるニッキイと「私」。
ニッキイは、単語10~12語で短文を捻り出せば、
その内容から意外な論理的結実を引き出せると言う。
「私」が何故か、ふと思い浮かんだワンフレーズ、

 A nine mile walk is no joke, especially in the rain.
 ――九マイルは遠すぎる、雨の中ならなおさらだ。

を口にすると、ニッキイはそれを深堀りして、
ある犯罪を暴き出した――。
ごく短いセンテンスに複雑な意味が込められている場合もある、
という話。
行間を読むこと、頭の中でイメージを膨らませ、
思考の筋道を通すことの重要性を再認。

以下「屁理屈安楽椅子探偵」(笑)の活躍が描かれるのだが、
初手のインパクトが強すぎて、
他の7編はあまり頭に入らなかった(トホホ)が、
論理にこだわる人たちがチェスを嗜むという辺りがリアル。
殺人現場の写真を見て、
チェス盤の状況から犯人と犯行の手口を言い当てる(「エンド・プレイ」)
なんてカッコよすぎ。

ちなみに、入手したのは新品で、
2017年12月、17刷(初版は1976年7月)――
ということは、コンスタントに需要があるのですね。

カバーデザインがお洒落で、しかも、
「The Nine Mile Walk」理解の一助に。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  英米語文学
感想投稿日 : 2019年9月11日
読了日 : 2019年9月11日
本棚登録日 : 2019年7月15日

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