エリア-デ幻想小説全集 (第1巻(1936-1955))

  • 作品社 (2003年7月1日発売)
3.81
  • (5)
  • (3)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 74
感想 : 6
4

世界的に有名な宗教学者であったエリアーデは、
実は幻想文学作家でもありました。
以前、福武文庫から出ていた『ホーニヒベルガー博士の秘密』
――とても面白かったのに、何故か手放してしまい(←バカ)
気が付いたときは絶版で再入手不可能になっていたんですが、
エリアーデの小説は、
私の知らない他の本も殆ど同じ目に遭っていたようで、
今年、発表年代順に編集された全集の発売を以って復刻、
という運びになった模様。
で、第1巻に「ホーニヒベルガー博士の秘密」と、
文庫に併載されていた「セランポーレの夜」が掲載されている
というので、ハードカバー、お値段¥4,800にも拘らず購入。
うう(^_^;)。
通読しての感想は……やはり長期間に渡って書き続けると、
段々(どんどん)巧くなるものなのか!ってとこでしょうか。
巻頭の「令嬢クリスティナ」<1936>なんか、
雰囲気よく分かるし、好みなんだけど、
いかんせんゴチャゴチャして読みづらい。
ところが四年後に発表された「ホーニヒベルガー博士の秘密」は、ぐっとスッキリしてて、文章が洗練されたという感じで、
内容と語りがしっくりと一体化している訳です。
おおぉぉ(笑)。
今回そのことに一番感動しましたが、しかし、
やはり如何にも幻想小説的なトリックとオチが堪らんです。
ハイ。
大体見当は付いちゃうんだけど、素直に分からないフリをして
読み進める(笑)のがベストでしょう。
しかし、この作品のタイトルは寧ろ、
「ゼルレンディ博士のひみつ日記」の方がピッタリだと思うのは
私だけだろうか(←って、おいおい☆)。
それから、もう一本、
特に印象深いのが1948年発表の短編「大物」。
このタイトルから、
普通どんなストーリーを思い浮かべるでしょう。
これがもう、見事に意表を衝かれて大笑い(^^ゞ。
でも、こういう荒唐無稽な話って好きだわ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  東欧文学
感想投稿日 : 2011年12月11日
読了日 : 2003年11月21日
本棚登録日 : 2011年12月11日

みんなの感想をみる

コメント 2件

淳水堂さんのコメント
2022/01/29

深川夏眠さんこんにちは。

ムントゥリャサ通りが面白かったのでこちらも読みました。
こちらの作品は、寓話的というか記号的というか政治や社会情勢不安が垣間見えますね。

この中では「ホーニヒベルガー博士の秘密」と「セランポーレの夜」が面白かったです。
インドというか東洋哲学に過剰な期待していませんか!?という気がしないでもなかったけど(^_^;)

深川夏眠さんのコメント
2022/01/30

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
やはり「ホーニヒベルガー博士の秘密」と「セランポーレの夜」
ですね。
この二作は繰り返し読んでいます。
その割に真髄を掴めていないのですが……(トホホ)。
https://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4828831673

ツイートする