朝井リョウさんのおもしろエッセイ集第2弾。
第一部は「日常」と名付けられた、主に大学卒業後のおばかエピソードで綴られる、まさに”少し長め、かつ、メッセージ性皆無のくだらないエピソードばかりで編まれたエッセイ集”。
第二部は日経新聞に掲載されていたコラム風の「プロムナード」。
第三部が持病との闘い「肛門記」。
前作を読んでいたときから若干触れられていたけれど、朝井さんてガチの兼業作家さんだったんですね。
知れば知るほど興味深いです。
空想や妄想を膨らませたり、奇妙な世の中の事象に突っ込みを入れたりする穂村さんや岸本さんのエッセイとは一味違い、現実に体験した出来事をおもしろおかしく抜群の語彙で飾り付けるタイプのエッセイ。
おそらく少々盛ってはいるのだろうけれど、面白いので全然あり。
また、やはり時に見せる真剣な洞察がぐっときて、そのギャップにやられる。
・人から聞いて面白い話というのは、「日常や世間の常識から少しズレた体験をした話」なのだと思う。そして、自分が主人公の「日常や世間の常識から少しズレた体験をした話」を自分で語るということには、「私はここがズレているんですよ」というポイントを自覚していることになってしまう。その時点で、面白さは半減する。
・小説家という職業に就いておきながら、この世に一生到達できない言語が存在するのが辛いのだと思う(男子バレーボールの石川祐希と柳田将洋のスーパープレー後に交わされた言葉無き頷き合いを見て)
・好きなものが多い人はそれだけで、語るべき言葉をたくさん持ち合わせているような気がする。
ほんとだよなぁと思う。
また、今作は朝井さんのバレーボール愛が随所に伺える。
初めはおふざけかと思っていたけど、多分本当に好き。
自分も中学校時代はバレーボールに打ち込んでいたので、またそこで親近感。
- 感想投稿日 : 2023年3月25日
- 読了日 : 2023年3月18日
- 本棚登録日 : 2023年3月25日
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