最後の晩ごはん 師匠と弟子のオムライス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月25日発売)
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感想 : 78
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夜だけ営業の定食屋<ばんめし屋>シリーズ第5作。
今回は夏神の料理の師匠・船倉の登場により、以前から気になっていた夏神の過去が明かされる。

夏神が山の事故で大切な人(やっぱり夏神の彼女だった)を亡くした後、どうして定食屋を開くことになったのか。
夏神の料理の師匠の話でその理由が分かり、まるで海里の過去を見るかのような因縁話に上手くできてるなと感心する。
自暴自棄になりながらもどこかで助けてほしいと叫んでいた夏神を船倉が助け料理を教え、その夏神はやはり自暴自棄で自分を見失っていた海里を助け、その海里は主を失って途方に暮れていたロイドを助け…こうやって巡り巡っていろんな人(だけじゃないけど)の繋がりが出来ていく。

師匠の死、幽霊となった師匠の成仏のために一肌脱ぐことにした夏神と海里たち。そのときに寄り添う海里の様子は…今回もごちそうさまでした。
弱ったイケメンもまた良し。

洋食屋の師匠の元で働いていた夏神が何故「定食屋」を選んだのか。
お客様の晴れの日を演出したい師匠と、お客さんの居場所『家』を作りたい夏神。どちらも素敵だし、師匠の店のように亡くなってもなお閉店の日に大勢のお客さんに惜しまれるということが、師匠がこれまで築き上げてきた日々を表しているのだろう。

そして夏神は過去の山の事故にようやく向き合う勇気を持てた様子。
次回はそっちがメインになっていくのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドラマ ハートウォーミング
感想投稿日 : 2019年8月7日
読了日 : 2019年8月6日
本棚登録日 : 2019年8月7日

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