子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

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  • 光文社 (2004年4月17日発売)
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鍼灸治療には四診法という診察方法があります。これは、望診(外から目で見て察する診察)、聞診(匂いや声などから察する診察)、問診(患者さんに病情などを直接問いかける診察)、切診(脈診、腹診、尺膚診など)の4つの診察方法をまとめた言い方です。どれもが総合的な診察には欠くことが出来ないものなのですが、中でも重要視されるのは、切診かもしれません。脈診、腹診など、施術者は患者様の身体に直接触れて診察を進めていきます。
 また、鍼灸治療をするときには、術者はやはり“手”を使って経穴(ツボ)を探していきます。そして鍼をするとき、お灸をするときは、もちろん直接患者様の肌に触れて治療をしていきます。
 このように、鍼灸治療にとって“手”というものはとても大切なものになります。施術者にとっての“手”ばかりではなく、手は、施術者と患者様を結ぶ接点として、患者様もまた、手から伝わる感触によって施術者への信頼感などを判断しています。
 そして手が触れる“肌”というものは、東洋医学的に見ますと、最初に外からの邪気を防御するところでもあります。風邪などを例に取るとわかりやすいかと思いますが、風邪をひきやすい方の肌の多くは、かさかさとしたところがあり、風邪が侵入しやすかったりします。皮膚は肺とつながり、衛気の様子をが出るところでもあり、肌の色艶は栄養状態など身体全般の傾向を示しています。
 身体の表面を覆っている肌は、とても重要な器官です。本書では子供の成長にとっての肌について述べたもので、成長期におけるスキンシップの大切さを教えてくれます。鍼灸医療の小児鍼の効果の原点も、このスキンシップにあるのではないでしょうか。鍼灸師の他に、手に関わる仕事をしている方、子育て中(子育てを始める)の方、子供と接する仕事の方などに読んでいただきたい一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医療・医学・健康一般
感想投稿日 : 2010年5月2日
読了日 : 2010年5月2日
本棚登録日 : 2010年5月2日

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