白い巨塔 上 (新潮文庫 や 5-23)

著者 :
  • 新潮社 (1993年11月1日発売)
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本棚登録 : 217
感想 : 20
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久々に山崎豊子作品を読みたくなって手に取った書である。おりしも、私が手術入院する時期に…。まぁいい、私の入院先は大学病院ではないから。
上巻のメインのストーリーラインは実に単純で、第一外科の次期教授選である。このポストを巡る悲喜交々の人間模様が実に面白い。教授選がこれだけ盛り上がるのは、間違いなく教授の権利やステイタスが助教授(現在の准教授)とは天と地の差が有るからだろう。
また、現教授であり、定年退官する東が何故これ程までも後任者に拘るかと言えば、再就職先もさることながら、自分の息のかかった人間を配置することにより、いつまでも権力を握っていたいからである。
我々一般庶民からすれば、医師の職に就くだけでもステイタスだと思うのだが、いざその中に入ると、その中での序列が存在し、自らが目指す地点に到達するまでは、幸福を味わえないものなのだ。
本作品は2003年のフジテレビドラマ一度で観ているため、ストーリーの流れは知っているが、原書を読むとより深みを感じられる。中巻以降も読んでみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年6月5日
読了日 : 2003年6月2日
本棚登録日 : 2011年6月5日

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