アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫 1)

  • 早川書房 (1999年10月1日発売)
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チャーリーの孤独、それは宇宙空間から地球を眺めるときに味わうようなものかもしれない。そう、宇宙空間に漂うなんてことは、だれも経験したことがない。チャーリーがひとりぼっちだということは、だれにも理解されないんだ。

幼児の知能しかないチャーリーが、実験的手術で急激に高知能を得てから、急降下するように元に戻る様子、その絶望、恐怖、自暴自棄。その描写は凄まじく痛々しいほど伝わってくる。自分を捨てた母に会いにいくところは、もうこれ以上ないくらい切なかった。チャーリーが、自分の頭を良くしたいと人一倍願ったのは、母に愛されたいという願いからだったのだろう。チャーリーが求めていたのは知能ではなく、愛とか人間としての尊厳とか、そんなシンプルなものだったのに。

脳と心は、メビウスの輪のようにねじれてつながる宇宙空間みたいで、
いかなる人間もコントロールできずそこに漂うしかないのだなぁ。

日々大切に生きよう。
私もアルジャーノンを忘れないようにしよう。





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月18日
読了日 : 2023年8月18日
本棚登録日 : 2023年8月18日

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