読み始めてまず面くらったのが、辺境の惑星ダミエムにあるホステルを舞台にし、訪れる観光客の中には予期しない来訪者が存在するという、あまりにも古典的な絶海の孤島&館ものミステリの変奏であったこと。
どうしてティプトリーはこうした形式を持ち込んだのか?
それが最後になって、なんとなく自分のなかで理由がついたような気がする。
美しいもの、はかないものが壊れるまで、そして壊れた場面を描きたかったのではないか?
今にも何か事件が起こりそうな状況が続く中、登場人物たちの思いが描かれ、ダミエム人の美しさと儚さと合わせて、こうしたものたちが崩れる場面をどこか見たくないと読みながら感じた。執拗なフラグ立てが不安を次々と煽る。ミステリにおけるクローズドサークルがもつ物語面での効果に着目したのが本作なのかもしれない。
ダミエム人の彼女、そして作者自身を連想してしまう彼女の姿、それにダミエム人の真実と合わせて、一貫したものがあるように思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年2月14日
- 読了日 : 2013年4月5日
- 本棚登録日 : 2013年2月3日
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