チェスタトンを知ったのは西部邁のエッセイであり、思想家や評論家のイメージが強く、小説は読んだことがなかった。ブラウン神父とか家にあるが積ん読のままだ。で、この「木曜日だった男」をなぜか読むことになった。
無政府主義者のグループに主人公がスパイ「木曜日」として潜入して、次々に他の曜日を追い詰めたりするのだが、「実は同じ警官なんだよ!」と、日曜日以外のすべての曜日が無政府主義者ではなかったことがわかってくる。その展開が面白い。最後は無政府主義者グループのボスである日曜日の館まで行くのだが、そこから神学論というか、月曜日から日曜日までの登場人物たちと、最初に木曜日だった男である悪魔が集い、議論の末、天使である曜日と悪魔の無政府主義者が意見を一致させて「神の平和」である安息日=日曜日に「あなたは苦しんだことがあるのですか?」と問いかけて夢オチで終わる。探偵小説にして黙示録ってめちゃんこネタバレやんと思った。最後の最後まで読んではじめて、ほんと帯のまんまの話やったな……と思えるようになっている。
終わり方とか、スラップスティックな感じとか、不思議の国のアリスのような小説だったと振り返って思う。「これめっちゃおもろい探偵小説やで」とは言えない。「キリスト教エンタメ小説やで」と言いながら薦めるべし。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外小説
- 感想投稿日 : 2014年7月20日
- 読了日 : 2014年7月19日
- 本棚登録日 : 2014年7月19日
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