宗教VS.国家 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2007年1月19日発売)
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フランスに旅行したとき、意外にも黒人が多かったことに驚いた。フランスの移民の歴史については大学のとき学んだけど、まさかこれほど多いとは、と思った。民族問題と関わってくるのが宗教、とりわけフランスでは政教分離というスタイルだ。黒人移民は主にイスラーム圏からなのだが、それを象徴する事件として、少し古いが15年ほど前にあった、学校にスカーフをして登校したイスラームの女の子が、宗教を教育の場に持ち込んだとして学校に入れないという事件があった。さらにはスカーフ禁止法という法律まで成立させる徹底ぶり。なぜフランスはこれほどまでに政教分離に固執するのか。そのためにフランスの政教分離の歴史をみていくというもの。日本とはちがう国の政教分離の過程が知ることができる意義深い本だと思う。しかし、著者はイスラームの移民が厳格に宗教を守る姿をアピールするのには宗教上のみならぬ別の理由があると述べて本書を締めくくっている。その理由とは現在のフランスが抱える問題への彼ら、彼女らのシュプレヒコールでもあるのだ。

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感想投稿日 : 2007年5月28日
本棚登録日 : 2007年5月28日

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