高野秀行が「ビルマ・アヘン王国潜入記」、「西南シルクロードは密林に消える」 (未読)に続いて世に問うミャンマー旅行記第3弾。今回は船戸与一のカバン持ち旅行ということもあり、冒険譚的な魅力には乏しいが、いつものように周到な調査と現地現物の肌感覚に基づいた先入観のない評論は的確。何かと話題になることの多いミャンマー軍事政権に対する独自の考察は見事だ。また、後に「謎の独立国家ソマリランド」として結実する、現代日本から圧倒的にかけ離れた辺境の実情を日本史上にマッピングする手法が確立された書としても記憶されるべきであろう。ただし、ノンフィクション作品としての完成度はアヘン王国や謎の独立国家に遠く及ばない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2016年5月5日
- 読了日 : 2016年5月5日
- 本棚登録日 : 2016年5月5日
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