現代社会の理論: 情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書 新赤版 465)

著者 :
  • 岩波書店 (1996年10月21日発売)
3.66
  • (73)
  • (86)
  • (143)
  • (13)
  • (4)
本棚登録 : 1269
感想 : 83
4

冷戦終結後に書かれた「情報/消費社会」についての本。

「情報/消費社会」を肯定的に捉えつつ、そのままでは資源、環境、貧困などの「限界問題」が解決されないことから、その「転回」を主張している。

その主張は現代のSDGsに極めて近いことは、以下の引用から分かる。

"転義としての「消費社会」についてはどうか? 転義としての消費社会(商品の大衆的な消費の社会)もまた、それが現在あるような形ではなく、その可能性について考えられるなら、「限界問題」をのりこえることがあるだろうという見とおしを、私はもっている。けれども、このためには「消費社会」が、原義としての<消費>というコンセプトを軸足として、転回されることが必要だろう。<消費>をその原義において豊かなものとしてゆくための、方法としての市場システムを、破綻なく活性化しつづけるための形式として、「方法としての消費社会」というべきものを、構想しなければならないだろう。このことは「消費社会」が、資源/環境の臨界問題、域外/域内の貧困問題を不可避の影として帰結する現在地の構造からの、解き放たれた展開を獲得するために、基底的に必要な条件であるように思われる。"

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2023年6月8日
読了日 : 2023年6月8日
本棚登録日 : 2023年6月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする