現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)

著者 : 見田宗介
  • 岩波書店 (1996年10月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004304654

現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 大学時代のバイブルです。最近読み返したら、鉛筆で線がいっぱい引いてあって、無い頭を捻りにひねって考えながら読んだことを思い出しました。

    ・・・どうやら「構造」というものがあるらしい。それによって世界はまわっていて、「南」の貧困、あるいは「北」のなかの貧困を固定しつつ、様々なリスクを生み出しながら、危ういバランスのうえで、ぼくたちは大学やバイトに行ったり、日々を生きている。


    「途上国の8人家族が飢えに苦しみ・・・」というニュースを聞くと、何でそんなに子どもつくるんだよ自業自得!
    「コーヒー豆がスタバに買い叩かれるんだ!」と荒ぶる農民をみて、じゃあ別の仕事しろよ依存してるだけやっぱり自業自得!
    と辛口評論していた当時のぼくは、見田先生にあえなく論破されたのでした。

  • 高2の夏休みに課題図書として読まされたときは何が何だかサッパリだった。大学で専門の勉強をした今、再読してみると面白いぐらい引き込まれる。素晴らしい本を紹介してくれた、国語の教科担当の先生に感謝。

  • 資本主義の登場→初期の資本主義は限界性を内包:供給過多となり、需要と吊り合わないbyマルクス→消費化/情報化社会の登場→消費をモード化する&張り巡らされた情報網→人の無限の欲望を刺激→終わることのない消費→資本主義の限界を克服→外部性、資源の限界→克服可能か??

  • 再読。現代が消費化/情報化社会であるとして、その欠陥点が〈消費〉の概念を社会全体が正しく捉えられていないこととして指摘、その解決を情報化と〈生の直接的な充溢と歓喜〉へと消費の概念を見詰め直すことに見出している。

    以下、昔書いたまとめを。

    ------

    <一章要点>

    ・資本主義という一つのシステムが、必ずしも軍事需要に依存するという事なしに、決定的な恐慌を回避し反映を持続する形式を見出したという事、この新しい形式として、「消費社会化」という現象をまず把握しておく事が出来るという事。

    ・自己否定、自己転回

    ・デザインと広告とクレジットを柱とする、ソフトなより包括的な戦略、「消費者の感情と動機と欲望に敏感な」システム

    ・消費社会としての資本制システムが存立する事の前提は、(この労働の自由な形式に加えて、)<欲望の自由な形式>である。

    ・<欲望の抽象化された形式>、<労働の抽象化された形式>

    ・古典的な資本制システムの矛盾——需要の有限性と供給能力の無限拡大する運動との間の矛盾、これが「恐慌」という形で顕在化する。

    ・上記の矛盾を、資本の基本システム自体による需要の無限の自己創出という仕方で解決し、乗り越えてしまう形式が<情報化/消費化社会>。

    ・自己の運動の自由を保証する空間としての市場自体を、自ら創出する資本主義。

    ・<情報化/消費社会化>こそ、初めての純粋な資本主義である。

    ・誘われたままでいる事を享受し、あるいは寧ろ、よく誘惑するものであるか否を、鋭敏な批判の基準として選択する対処の仕方は、1970年代以降の世代達にとっては、平常の基礎的な情報消費社会の内部を生きる事の技法となっている。

    ・<大衆が消費する事は、それが資本の増殖過程の一環をなすからといって、それが大衆自身の喜びである事に変わりない>

    ・この社会の固有の「楽しさ」と「魅力性」という経験の現象、それがこのシステムの存立の機制自体の不可欠の契機である



    <二章要点>
    ・「自動的な廃滅化という現代の傾向」

    ・上記の様に呼ばれているのは、「モードの理論」と同じ戦略によるものである。つまり、<消費の為の消費>を通しての繁栄というシステムの基本の論理そのもの。

    ・根源的独占は、商品システムというものが、必要を充足する為の他の方法を排除してしまう事を通して、生活の仕方を選択する自由を否定する。それは、自然的な他の共同体的な選択肢を解体してしまう事を通して、商品システムへの依存を強制する。

    ・農村と都市の構造から家族の形態に至る、日本社会の基本的な構造が変容したのは、1960年代を中心とする、「高度経済成長期」である。日本に於ける「現代社会」の創成期である。

    ・現在の<情報化/消費化社会>が、自分で自分の無限定の成長と繁栄の為に設定する無限空間——人間達の現実的な必要を離陸する<欲望の抽象化された形式>、あるいは<欲望のデカルト空間>とは、このような<消費の為の消費>、<構造のテレオノミー的な転倒>の、純化され、洗練され、完成された形式である。

    ・ 生産の最初の始点と、消費の最後の末端で、この惑星とその気圏との、「自然」の資源と環境の与件に依存し、その許容する範囲に限定されてしか存立しえない。

    ・ 現代の情報化/消費化社会は、資本制システムの「自己準拠化」の形式として成立した。

    ・ 人間達の「必要」に制約されない無限定の消費に向かう欲望を、情報を通して自ら再生産する。

    --------

    <一章>

     現代社会は資本主義社会である。世界恐慌等を経験し、決定的な恐慌を回避し持続的な繁栄を実現する為に<情報化/消費化>した。というのも、<情報化/消費化>は「消費者の感情と動機と欲望に敏感」になる事で、需要の無限の自己創出を可能にしたからである。そして、このシステムが成立するのは、<大衆が消費する事は、それが資本の増殖過程の一環をなすからといって、それが大衆自身の喜びである事に変わりない>事とこの社会の固有の「楽しさ」と「魅力性」という経験の現象によって裏付けられている。

    <二章>
     一章で先述されている、『需要の無限の自己創出』とは、必要を充足する為の他の方法を排除してしまう事を通して、生活の仕方を選択する自由を否定する根源的独占と、人間達の「必要」に制約されない無限定の消費に向かう欲望を、情報を通して自ら再生産する事で可能となった。また、先述の日本に於ける『現代社会化』は農村と都市の構造から家族の形態に至る、日本社会の基本的な構造が変容したのは、1960年代を中心とする、「高度経済成長期」に起こった。


  • ‪三章 南の貧困/北の貧困
    すばらし。この人の講義を受けた人は幸せだな。
    一つ残念なのは文章が難解で万人受けではないこと。‬全集、まだ読めていません。

  • 現代社会を明晰に分析して、すでに古典となった名著。
    (松村 教員)

  • 情報化で社会の何が変わるのか
    情報化ー>消費化=デザイン広告
    環境問題として 発展のための農業
    公害は米国→米国 →日本 →中国(資源のない国)
    情報化による貧困
    北 システム化により作られた貧困→システム導入で自給できない
    南 強いられた貧困 相対的→絶対的になる
    ポストモダン消費 コンセプト
    1大量生産による限界に贈与論
    2商品価値観の違い

  • 日本社会学の泰斗による、現代社会の鮮やかな分析。1996年の出版だが、中身は全く古びていない。キーワードは「情報化」と「消費化」。現代社会の光の側面(魅力的なシステムとしての情報化/消費化社会)と、闇の側面(資源・環境問題、貧困問題)を冷静に描ききり、なおかつ一歩進んでその先にある「希望と しての情報化/消費化社会」をも提示しているところに、学者としての誠実さを感じる。岩波新書の新たな古典として、特に大学一年生にお勧め。
    (走る書店員)

  • いまごろだけど読了。
    もはや古典となりつつある現代社会論。
    第四章が白眉。消費社会の情報化が、グローバルな諸問題(南北問題、環境問題…)をある程度解決するのではないかという話。バタイユに根拠を求めてそういえことを言う。こういう、SF的で、オプティミスティックな話は好き。この章、600ページぐらい使って論じて欲しいぜ…。かなり読むに値すると思う。
    ただ、4章では労働の構造的な問題にほとんど触れてない。これ、マルクス主義=計画経済と捉えている点と無関係ではないと思う。マルクス理論の導入に躊躇があったのでは?とか思ってしまう。(いや、でも見田のごとき社会学者がマルクスを見落とすわけがないし、ほかの著作では大いに触れていたと思うのだが、どういうことだろう)。労働の問題こそ根本的な問題(諸悪の根源)だと考える人からは不評だろうと思う。
    いずれにせよ、この後の展開に期待。(それらしい本が見当たらない……)

  • 刊記を見ると、初版は1996年。
    20年が経過しているので、もう時代遅れになった部分があるのでは、と思った。
    たしかに、アメリカの経済状況は、あれからリーマンショックなど、本書では予見できない不況に見舞われたのは事実だ。
    むしろ、今、やっと著者の描いた情報化/消費化社会のことが、リアルなこととして感じられる。

    限界に達した現代社会を、問題だけ指摘して終わるのではないところも、本書のよいところだと思う。
    ただ、バタイユを援用しながら述べる、「生の充溢と歓喜の直接的な享受」を可能にするような「消費社会」がやってくるのかは・・・残念ながら、現状ではそのようには思えない。

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